名残の桜 待っててくれてありがとうね

年は取りたくない…2月の無理が思いのほか長引いて、お散歩をする気になれない日が続きました。気が付けば桜は終わっていて、なんだか寂しい気分の春を過ごしていました。

 

今日は久しぶりにロングコースのお散歩。

地下鉄の出口に差し込みお日様が心なしか弱い気がしていましたが、そうではありませんでした。半月の間にお日様の位置が変わっていて、外に出たら思いがけない強い日差しに、一瞬立ち止まりました。

街路を彩る樹々の緑もすっかり色濃くなっていて、もう生で食べるより湯がくか炒めないと食べられそうにありません。

(何を見ても食べることに結び付くのは、悪い癖(-_-;))

力強い緑の下を歩きながら、エネルギーを分けていただきました。

 

庭園に入ったら重そうなほど花を咲かせている樹がお出迎え。奥を見ると八重桜もまだ花を残していました。

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満開のヒトツバタゴ

残念ながら私のお気に入りのザワザワ桜はすでに葉桜でしたが、良く見て見ると、盛りを過ぎた八重桜があちらこちらで咲いています。

おまけに昨日の雨のお蔭か、花弁が飛ばされずにあちらこちらで桜の絨毯が敷き詰められています。

時折吹く風に、花吹雪も見せてくれて、私を待っていてくれたのねぇ…感謝です。

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名残の桜で心に残っている景色があります。

もう30年くらい前、ゴールデンウィークの頃に出張で関西に出向きました。

あっ、もしかしたら吉野の千本桜の名残に間に合うかも!

当時の私は博物館額のフィールドワークで一人旅にはすっかり慣れていたこともあり、フットワークが軽かったんですよねぇ。大阪の出張を終えて朝早く吉野へ向かいました。まだケーブルカーは運転していなくて、バスで吉野の山頂へ。

残念ながらバスの車窓から見る景色は葉桜ばかり。まぁしょうがない、もう五月だもの。

気持ちを切り替えて、もう一つの目的でもあった西行桜を見に行くことにしました。

もとよりバスの乗客は10人もいなくて、そのなかでも盛りを過ぎた西行桜に向かって歩き始めたのは私一人でした。観光地の外れとはいえ、一人で山に分け入るのは心細くもありましたが、好奇心が後押ししてくれました。

「願わくは 花の下にて春死なん その如月の望月の頃」

べたではありますが、西行の句を口にしながら西行桜への道を進んでいくと、本当に私を待っていてくれたかのように、風に吹かれて最後の花吹雪。吹雪と呼ぶにはあまりにも寂しいけれど、諦めていた私には満開の花吹雪に勝るとも劣らぬ景色でした。

まるで西行の人生を現すようなはかない花吹雪に出会えたあの景色を、忘れることはありません。

山頂からの帰り道、バスの時間には間がありすぎて、若かったんですねぇ。歩いて山を下ることにしました。

出張帰りのローヒールも全然気にならず、ハイキングを楽しむ人の冷たい視線も何のその、ふもとまで降りてきて、もう駅が見えるというところで一大アクシデント勃発!蛇が私の行く手を遮っています。

蛇はやばいでしょう。引き返そうかと一瞬思いましたが、どこまで引き返さなくてはいけないのかわかりません。よーく見ると、こちらへの威嚇もありません。一瞬考えた挙句、しっぽの方をダッシュで駆け抜けました。もしかしたら、あれは抜け殻だった?後ろも振り向かずに駅前広場まで走りました。

霊験あらたかな山は、よこしまな心を持つ人を阻むと言われます。その時の私も「帰っちゃいけないの?」そんな気持ちがよぎりましたが、吉野の御山は私を返してくれました。吉野葛をお土産に買ったのが良かったのかしら?蔵王権現様に感謝です。

 

どなたにとっても桜の思い出は、一つ二つはあるのではないのでしょうか。

あなたの桜の思い出は、どんな思いででしょうか。