しなやかにしたたかに

NHKで放送されている「深読み読書会」という番組があります。

制作陣・出演者の方には申し訳ないのですが

BGM代わりにたまに聞いて?います。

興味のある本が取り上げられているときもあれば

全く知らない本の時もあります。

今回は井上靖著「敦煌」が取り上げられていました。

私にとっては井上靖はすでに大御所というか古い作家の部類に入っていて

読んだことはありません。

 

番組の内容は本を知らない私にも面白いものでしたが

その中で私の心をとらえたのは

「与格」という思考というか表現方法です。

司会を務めたサヘル・ローズさんによると

イランの方で使われている表現だそうでした。

ウィキペディアによると「主語が主格ではなく与格で語られる」というのですが

私が番組を通して感じたのは、

ある行為によって感情が外から自分の中に入り込んでくる

とでも言いましょうか、うまく表現できません。

 

敦煌」という小説の舞台は西域です。

与格という考え方は厳しい自然と切り離すことはできないように思われます。

自分の力だけでは抗えない自然や出来事を受け入れて生きる。

 

近頃の私は、少し自分で考えることを見つめすぎて

外からの影響を受けることに対してガードを固めていたように思います。

そんな私にとって「与格」という考え方はちょっとした驚きでした。

外からの影響をどうとらえるのか。

「流される」のではなく「共存する」「受け入れる」

そんな生き方をしたいと思っていたのに…

 

去年の今頃、友人にどんなふうに行きたいかと聞かれて

「しなやかにしたたかに」と私は答えました。

一年たって、すっかり忘れていました。

今一度、「どんなふうに生きたいか忘れていないかい?」

と、聴かれた気分です。

 

目指すは

ゆるらくに、しなやかに、したたかに

息を抜きながら、自分頭で考えながら

やだ、ワクワクしてきた。

 

思いがけない気づきをもらいました。

録画しとけばよかった。

今度再放送があるときは、もっとちゃんと見ます。