桜の樹の下のざわざわ気分
東京の桜が満開になったと、情報番組で話していました。
私の見える範囲の桜はそこまで開いていない気がします。
私には特に気になる桜の樹があります。
ニ・三年前、お散歩コースに全国の桜が植樹されている庭園の通り抜けを追加しました。それまでは、看板に記載されている開園時間より早いので、扉は開いているけれど中に入るはまずいかなぁと思って、横眼で眺めながら柵の外をぐるりと回っていました。そのうち、庭園の中から出てくる背広姿の人を見かけて私もお散歩コースにさせてもらうことにしました。
春が来て桜の季節、違う種類の桜の樹が植っているこの庭園は、長い期間お花見を楽しませてくれます。どれも枝ぶりが立派で、花の下から見上げる楽しみが増えました。一本一本の違いを楽しんでいたところ、ある桜の下に入ったら急に気持ちがざわつき始めました。気のせいかと思って他の樹の下に移るとざわつきは収まります。また戻るとやっぱり気持ちがざわざわ…
刑事もののドラマや推理小説などで、きれいな桜の下に死体が埋まっているというシーンが良くありますが、都会のしかも国会前の庭園に遺体が埋まっているとは考えずらいですよね。気持ちのざわざわの理由はわからないまま、でも怖いもの見たさと同じで花が開いている間、樹の下で不思議な気分を味わいました。
あるテレビ番組で京都の老舗のお嬢様たちが開いたお花見の席、話題は自然と桜にまつわる話になったところで、一人の方が「桜の盛りのころはなんだか気持ちがざわついて、少し散りかけの方が安心して桜を楽しめる」と話されると、同席の方々も皆さん同意されていました。あー、私だけじゃぁないんだとなんだか安心。満開の桜の華やかさに心がざわつくのでしょうか?
今から20年以上前、桜を見ながら来年は見られるだろうかと考えていた時期がありました。尊敬する方の書いたエッセーに影響を受けたのです。まだ若かったのに、遠い未来を描くことが全くできない時期でした。毎日は充実していましたが、刹那的だったんだと、今振り返ると不思議です。歳を重ねた今の方が未来を少しは見据えているんですから、人間の気持ちなんて移ろいやすいものですね。
今年の桜は例年通り、連れ合いと近所の桜を楽しんで、その後は自宅で宴かなぁ(呑めればそれでいい、という訳ではありません)。
そして、朝はお気に入りのざわざわ桜を楽しむことにします。
あなたはどんなお花見を予定していますか?